黒いTOY

#122: Vectrex (光速船)

Vectrex 光速船 1982 GCE
Vectrex Arcade System – GCE (1982)

米GCE社が1982年に発売したモニター一体型のゲーム機。当時の家庭用ゲーム機として主流となりつつあった自宅のテレビに接続して遊ぶ方式ではなくゲーム本体にブラウン管モニターを有しているのが最大の特徴で、これによりテレビ環境の無い場所にも本機を持ち運んでゲームをプレイする事が可能(注1)となった。また、画面を表示する仕様も従来のテレビに用いられているラスタースキャン方式ではなくベクタースキャン方式が採用(注2)されており、家庭用ゲーム機としては類を見ないその美しく滑らかな描画は今でもファンが多い。ゲームソフトはカートリッジ型で本体脇のスロットに差し込んで交換を行う。またその際にオーバーレイと呼ばれるソフト付属のカラーマット(色つき下敷き)をモニターに設置すると疑似ではあるがカラー画面でゲームがプレイできた。
日本国内では1983年に「光速船」という名でバンダイが輸入販売を行っていた。ライトなゲームファンにはこちらの名称の方が有名である。

(注1) 本体の起動にはコンセントからの通電が必要という制約がある。また、9インチ(約11×20cm)サイズのブラウン管モニターはそこそこの重量があるため、正直持ち運びで遊ぶには適した仕様ではない。
(注2) ブラウン管の基部からモニターの表面に照射される無数のレーザー光線を直線状に動かし(走査)て構成した面に対して輝度や彩度を加えて描画する方法がラスタースキャン方式。従来のブラウン管テレビや家庭用テレビゲームの描画方式がこれに当たる。一方のベクタースキャン方式は、ブラウン管から照射されるレーザー光線を表示したい物体の形に沿って直接描画(走査)する方法。本文でも説明した通り美しく滑らかな映像が得られるが描画は点と線のみに限定され、塗りつぶしやドット絵のような細かい表示には不向きな方式であった。

 

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